1.想像もしなかったサバイバルが始まる

広報事業での独立は、「他の事業と比べて比較的簡単にできる」と、考えている人は多いかもしれません。
ある程度の広報の経験さえあれば、初期投資/商品の仕入代金/従業員の雇用なども不要ですし、自宅や協力してくれる知人の会社にノートパソコンを持ち込めば、簡単に開業できます。
私は、事業を始めて12年になろうとしています。振り返れば、会社を辞めてから開業自体はスムーズだったのですが、その後「営業活動」にずっと苦戦し続けました。PR会社のサービスは無形ですから、実に売り込むのが難しく、多くの方が苦労を重ねてきたと思います。
いざ独立してみると、

1.仕事を呼び込むことが難しい。やり方がわからない。
2.事業を安定・持続させることが難しい。
2.以前の会社にいた時のやり方が通じない。
3.フリーだと、ナメられる。買い叩かれる。
4.フリーだと信頼を得られない、実績が十分に示せない。

など、こんなはずじゃなかったと思うことの連続で、売上低迷、自信喪失に陥る人も少なくありません。すると、会社生活を振り返り、ある程度の収入が確保できることの重要性に改めて気付くのです。こんなことを書くと、夢を失ってしまう人もいるかもしれません。また慎重になり過ぎてしまうのはいいことではありませんが、予め想定しておけば課題に直面した時にも解決策が見つけやすいはずです。

2.「独立したては間違いだらけ」で当たり前

「うまくいかない」と、もがき苦しむ中で自分の事業の間違いにいくつか気付くはずです。もちろん気付きのポイントは人それぞれですが・・・エラーを早く見つけ、受け入れ、直さないと、同じ過ちを何度も繰り返すことになるのです。特に、独立していると気づきが遅くなりがちです。なぜなら、間違いを指摘してくれる人が少ないからです。「経営者は孤独」とも言いますが、常に自問自答し、自分に厳しい客観性が重要です。

例えば私の場合、主に10項目のエラーに気付き、改善のためにいくつかの新しい価値感を取り入れています。

  1. これまでいた会社を基準に考えるのはやめよう。
  2. 「フィーは高いが成約率の低い仕事」は避け、「安くても着実に稼ぐことができる仕事」を増やそう。
  3. 企画書はシンプルに。相手の知りたいことをわかりやすく的確に伝えることで、お互いの時間効率を高めよう。
  4. 不得手な「営業」は、代理店さんや大手PR会社さんにお願いし、共に開発していく体制を構築しよう。
  5. 広報の事業領域にこだわらず、クライアントの目標達成のためのサービスを提供しよう。
  6. 料金を固定し過ぎず、経営状況によって柔軟に対応しよう。
  7. 人と会う機会を増やし、協力者、情報源、ビジネス接点などを増やそう。
  8. 自分らしくて、儲かる新しいサービスを探そう。
  9. 相手の困っていること、やって欲しいことを見つけ出す能力を身に付けよう。
  10. 実績を充実させて、アピールする資料やホームページをしっかり作ろう。

これだけではなく、多くのことに気付き、その度に改善するべきです。「間違えがあって当たり前」と思う前提は、困難にぶつかった時に自分を救ってくれます。また、よく「自分の道を信じて進め」などと言いますが、独立したてのころは道や目標は定まっていないはずですから、まずは道を探しましょう。

3.「生み出す」と「稼ぐ」意識を、しっかり身に着ける

一般的な会社では、「社員個人の能力」よりも「会社の総合力」を原動力としています。ですから、個人は会社の方針や目標、命題に応えることで貢献する仕組みになっています。逆を言えば、個人が会社の成功のために前向きに考えた活動や意見に見向きもしてくれなかったり、反対意見と捉えられるなどの誤解を受けたりして、歯痒い思いをすることも多々あります。
しかし、独立して事業を始めたからには、この時の考えを忘れて、「自分の能力」をエンジンとして切り替える必要が出てきます。抑えられていた自主性を開放して、新たなビジネスを練り、組み立て、稼ぐことのできるビジネスモデルを作っていく必要があります。
しかし通常、最初は失敗ばかりです。でも、失敗しても何度も改善を繰り返したり切り替えたりしていくうちに、少しずつ仕事や能力が積みあがっていきます。経験が増えると、アイディアも豊富で的確になり、判断も早く的確になり、人も集まってきます。私にとっては、これが事業の理想的な環境であり、最大の楽しみだと思っています。
自信で生み出したアイディア/ビジネスモデル/成功談は、自社の財産となり、差別化となります。これを増やすことができれば、ビジネスは軌道に乗ってくると思います。

4.独立してから、実績や経験の積み方

独立して間もない時期は、「御社の得意分野は何ですか?」、「実績集はありますか?」という質問に苦しみます。初めて1年で、どれだけの仕事が得られるでしょうか。2~3年はこれを示すことができず、自社の能力を証明することが難しい状況が続くでしょう。
独立して間もないPRパーソンからこのような相談を受けた時は、私は大手PR会社からの業務委託を進めるようにしています。私の、これまで本当に多くの方々の橋渡しをしてきました。もし、ご興味のある方がいらっしゃったら、どんどんご連絡いただきたいと思います。また、大手PR会社からは、よく私のところに人手についての相談をいただいていますので、そちらもお待ちしております。
大手PR会社での業務委託を受けると、実績も得られますし、安定した収入も得られます。また、自分が学べなかった魅力的なPR経験が、独立しながら得られるのです。これが何よりの「成功の近道」だと思っています。
クライアントからしてみれば、PRサービスを受けるにしても、大手のお店や商品の方が安心感を得られますから、社内の承諾も得やすいのが実態かと思います。残念ながら、あえて小さな事業者を選ぶ理由は多くないでしょう。世の中のPRのニーズは、知名度やネット集客が十分な大手企業に集中しています。独立したての事業者にはいつまでたってもいいお客さんが寄ってこない、これは仕方のないことです。

5.頼れる友人を持つことが、最も大事

事業は、「予想外」の連続です。一ヶ月ずつ着々と、とんとん拍子で進むことは、まずありません。

  1. 毎月、売上が十分に立たない
  2. あてにしていた仕事が流れてしまった
  3. これまでに経験のない業務が舞い込んできた
  4. おいしい仕事なのに時間が足りない・・・

こんなトラブルに見舞われるのは、日常茶飯事です。そういう時にこそ、頼れる友人・知人が必要です。
PR Supportersでは、同じような苦労を経験している人もたくさんいるはずです。
業務相談、紹介・協力依頼、愚痴・・・いくらでもPR Supportersにご連絡いただければ。
自分だけでは気付かないこともたくさんあるはずです。

<プロフィール>

佐々木勇二
株式会社グッドエイム 代表取締役
ウシオ電機株式会社広報部、ピーアールコンビナート株式会社、株式会社プラップジャパンを経て、2006年に独立。
フリーランスの広報ディレクターとして7年間活動し、2014年1月に法人化。 広報実務歴20年。
2001年、自身の担当プロジェクトで、日本ピーアール協会のPRアワード優秀賞を受賞。
コンシューマー系PR業務を中心に、食品メーカー・業界団体、流通・商業施設、外食企業、住宅業界、カルチャーグッズ、文化財団、スポーツメーカー、医薬メーカー、航空会社、自治体、公益団体、金融、IRなど、100社を超える業務実績がある。
エフビーアイ・コミュニケーションズ、ブルーカレント・ジャパン、エデルマンジャパン等の契約PR会社では、アドバイザー兼プレイヤーとして、PRプロジェクトをリードした。