PR supporters voiceでは、それぞれの経歴やPRへ進んだ経緯、独立してからのお話などをお伺いしています。第三回目は、テレビ・WEB等のメディアで記者・エディターの経験が8年あり、現在は自治体のPRパーソンとして活動する加藤倫子様に話を伺いました。


記者・ディレクターから広報・PRへ

広報・PRの仕事をはじめて4年目になります。
週刊誌のライターのアシスタントを半年、テレビでは報道記者・ディレクターを6年、WEBのニュースエディター1年等で通算すると8年間メディアにいました。週刊誌では、オウム真理教の事件や許永中巨額詐欺事件等、事件のリサーチや取材同行をしていました。テレビでは、社会部の遊軍と言われる部署にいて、日々、現場記者からの事件・事故の原稿を本社で受けて、リライトして放送したり、ストレートニュース用のネタから積み重ねた取材を企画し、特集となって放送する機会があったり、そのひとつは映画監督からのお声がけで映画になったこともありました。いじめを苦にして自ら命を絶った女子高生のご家族の取材、交通量刑の改正、余命3か月で渡米し臓器移植を受け助かった少女、少年事件等を企画取材し、苦しいこと、悲しいこと、厳しい出来事・現実の中でも、助け合って生きる人の優しさや温かさに出会い、人間という存在の面白さと尊さを発見できた経験でした。

夜のニュース番組の担当となり、不規則な生活から一時期体調を崩したこと、経済に直結する仕事がしたいと思ったことから、30代前後で証券、保険の業界で営業を経験しました。その後、PR業界では著名な片岡英彦さんのアシスタントとしてお手伝いをさせて頂いたこと、友人・知人から広報・PRについての相談を受けるようになりました。経験して得てきた'伝える力'の補強をして、相談下さった方の力に成れたらと思い、それが次第に仕事になってきたのです。東日本大震災から半年経ったある日、被災地に行くことがあり、自分ができることで日本を元気にしたいという意志が生まれ、独立することにしました。

現在はPR supportersの関係者の方に地方自治体のPRのお仕事をご紹介いただき、栃木県は日光市のPRの仕事をしています。地方新聞社、広告代理店と旅行代理店とでコンソーシアムを組み、首都圏でのニーズ調査、情報発信の業務をしており、震災後、風評被害等で激減した観光客を取り戻していく事、2020年のオリンピック・パラリンピックへ向かい、国内外から誘客を図ろうということが事業の目的で、今年で3年目に入ります。2年目は震災前の観光客数を取り戻すことができ、ここ10年で最も多い観光客数の入り込みを記録しました。

今回、メディアにいて番組を制作したり、編集してきた立場から、自分が記者・編集者だったらどんな広報・PRパーソンだったら興味を持ったり、話に耳を傾けるか、という視点と心掛けておくと良いと思うことを少しお話します。

1:社会の問題に敏感であること。

メディアでは、'社会の問題'を解決していくネタを常に探しています。問題提起から、新しい取り組み、商品・製品やサービスの紹介と展開されていく訳ですが、膨大なプレスリリースから、WEB、SNS、情報提供等からも絶えずネタを探しています。自社の扱っている商品や製品、そして提供しているサービスの差別化をよく分析しておくことや、露出の'タイミング'が来る時があるので、メディアが必要な時に必要な情報を提供する、機を見逃さない為にも社会の問題に敏感であることが求められます。その為には、ニュースは確実にチェックしておく必要があります。

2:スピーディであること。何でも屋。

返答が早く、フットワークが軽いこと。そして'なんでも屋'になること。特にテレビのリレーションは、難しいことよりスピードを求められます。必要な画像(写真)提供、動画提供ということもあったり、ロケの手配をしたり。データを調べたり、リサーチの作業もある程度までこちらでしておくと、重宝されます(時には無理も言われます・笑)。まるでADのように裏方で地味な仕事です。けれど、細やかにこうしたフォローをしていくと、信頼され、パートナーとしての関係が構築できていきます。

3:自らが発信。記事やブログを進んで書く。

自ら記事を書いたり、コラムを書いたりと情報発信をすることで、情報を伝える肝・要が見えてきます。'どんな情報が求められていて、どんな材料が必要か'。積極的にコラムを書いてみたり、ブログでもよいので書いていくと、必要な情報は何かという感覚が身についていきます。

4:勉強する、色んな業界の人と会う。

広報は浅く、広くの知識が必要とされますが、PR案件以外の情報提供も喜ばれます。その為には業界を超えて色々な人に合うこと、幅広く勉強すること、自らが行動することが大切で、プレスリリースを書くときの思わぬプラスアルファのエッセンスに繋がり、そのことから思わぬ問い合わせがあったりします。広報・PRの仕事をする以前、東京のサテライトオフィスが集まる徳島の神山町や、東北で第六次産業化を推進するため全国に農業・漁業の産業の価値をあげる取り組み等、新しい試みをしている色々な場所へ行き、人にお会いしましたが、その時の見聞が現在の活動に役立っています。

5:自分の好きなことを沢山する。

どんな場でも人は、仕事をやらされている感のある人より、愉しんでいる人の方に人は集まってきます。PRの案件以外の沢山のアンテナを広げて、でれきば自分の好きなことをする。好きなこと、楽しいことは相手に幸せなことは伝わり人が耳を傾けてくれるようになります。沢山の体験をすること、行動が先を拓きます。

広報・PRのスキルと言うのは、要はコミュニケーションのことだと思います。取材記者でも営業でも、どんな仕事でも最後は「人」だと思います。人の代わりになると言われるテクノロジーが進化していく中でも、人の話をきちんと聞いて、共感したり、思いやりを持って接したり・・・、当たり前のことかもしれませんが、関わる人を大切にすることは一番大切なスキルなのだと思います。

こんなことが挙げられますが、まだ広報・PRの業界での経験は浅いので偉そうなことは申し上げられないのですが、日々の活動に少しでもお役に立てましたら嬉しいです。

地方創生、テクノロジー、「人」にフォーカスした広報・PR。

今後は、AI、IoTとテクノロジーが実生活にどうかかわってくるか興味があり、このあたりの動向には注目していきたいです。また、地方のPRをしていることで感じることですが、日本の地方にはまだまだ魅力と可能性がいっぱいあります。それは'食'であったり、'伝統工芸'であったり、そこに生きる'人'であったり・・・。昔から継承されてきた文化、世界に誇れる宝が地方には沢山あり、政府も観光立国と銘打ち、2020年のオリンピック・パラリンピック後も目指しているところです。
ただ、良い情報があっても伝わり切れていないこと、他を知らないばかりに差別化ができていないことが多く、とてももったいないと感じていて、伸びしろを伸ばすための発信をしていければと考えています。

また、情報発信は全国的に'西高東低'と言われており、もっと東の方が情報発信を強化していったら良いのではと思う事、東日本大震災後の復興も進んでいるように思えないので、今後、力に成りたいと考えています。

「働き方改革」を後押しする、'PR supporters'の存在

昨今、残業過多での過労死等の問題から「働き方改革」が連日報道されています。ベストセラー、リンダ・グラットン著の「LIFE SHIFT」では、100年生きるとして、労働寿命がこれまでより数十年長くなるとも書かれていて、生涯現役で生きることもあり得る時代が到来しているとあります。働き方も多様化して、1社ではなく何社かの仕事を持つことも推奨している動きもあり、個人で会社をしていたり、フリーランスで働くことは先駆けた働き方ともいえるかも知れません。

が、当然リスクもあります。独立してまだ間もない頃、ある組織との1年の契約予定が先方の事情があり、3か月で契約が切れてしまい、次が決まっておらずに失業保険もなかったことから、フリーター状態になってアルバイトを掛け持ちしていたこともあります。どうやっても1人では得られる情報にも、どうしても限界があります。

PR supportersは、会社を持たれている方や、私のようにフリーランスで活動する方のコンシェルジュ的な存在であり、スタートアップの企業、はじめたばかりのPRパーソンの方々にもとても心強い存在になるかと考えます。それぞれがスキルを積み重ね、仕事の質を上げていき、みんなで知識や経験を共有し、みんなでまたブラッシュアップしてスキルを上げていく。ワーキングシェアでもありますが、この仕組みは創造的で新しい形だと思います。私自身も今後、ノウハウで提供できるものがあれば提供し、活用もさせて頂きたいと思っています。

<プロフィール>

加藤倫子

週刊誌のライター事務所のアシスタントから民放キー局の報道社会部へ出向。ADから記者、ニュース番組のディレクターを経験。いじめ自殺、少年犯罪、交通量刑の改正等、生死を見つめる取材、「人」にフォーカスした企画特集制作に携わる。他、国内外のニュースのキュレーションメディア(アプリ)立ち上げの際のエディター等、ニュースの世界には約8年半。その後、銀行、証券、保険の業界で営業を経験。その中で広報業務の依頼があったり、友人・知人に広報・PRの相談をされることが多くなり、株式会社東京片岡英彦事務所でアシスタントをしながら広報・PR活動。2014年に独立、企業や法人、自治体のPRパーソン、ビジネス・インタビューライター、ライター(東京ウーマン等)。